YUARITE ART PROJECT 2022

滞在を終えて

 2022年12月芸苑会館での朗読と音楽と三好大輔さんの映像を交えた発表を終えて、フロアで歓談していると、お世話になった小澤さんから「浅間社」は「あさましゃ」ですね、と早速指摘をいただいた。私は朗読の中で「せんげんしゃ」と発音したのだ。各地にある富士信仰とかかわりがある浅間社の仲間であろうと思い込んでいた。では、「あさま」と「せんげん」はどこまでつながりがあり、どこからつながりがないのであろうか。漢字の一致はたまたまか? これは引き続き追わなければいけないテーマとなった。

 また、今回御射神社春宮と秋宮はめぐれたものの、奥宮まで足をのばすことはできなかった。是非山にわけいって、春宮秋宮よりさらに古く信仰の対象であった烏帽子岩も眺めなければと思っている。どうやら追加取材が必要で、それも書ききったならば一冊の本になってしまうくらいの分量になってしまった。

 古くから縁のあった浅間温泉と、あらためてこのように向き合う機会をくれた「ユアリテ」というイベントを立ち上げた栞日の菊地さんと信州大学の先生方、下調べを支えてくれた学生諸氏に感謝したい。リサーチを終えて、おそらくあと40年くらいは生きられる者として、浅間温泉という場所がこれからどのように変化していくのか、他所者として定点観測のように街を眺め、湯につかりに来ようかな、という気持ちになっている。